1996 年 28 巻 8 号 p. 664-667
大動脈炎の再燃により縫合不全に陥ったと考えられる大動脈弁の再々弁置換を経験した.
症例は45歳,女性.感染性心内膜炎の診断で2回のAVRを施行したが,術後いずれも比較的早期にperivalvular leakageが出現した.大動脈炎症候群における外科治療上の問題点として,炎症活動期の組織の脆弱性と縫合不全がある.再々手術の際に我々はCabrol手術を選択し,弁閉鎖時に弁輪に及ぶストレスが減少するようにvalved conduitにウマ心膜でスカートを付けた.現在患者はプレドニン10mg/日を内服中である.術後1年になるが,炎症反応は血沈5mm,CRP 0.1mg/dlと落ち着いており,エコー上perivalvular leakageは認めていない.
感染性心内膜炎との鑑別が困難であった大動脈炎症候群の症例を若干の反省をふまえて報告する.