1996 年 28 巻 Supplement1 号 p. 17-22
ダイナミックSPECTを利用した123I-BMIPP心筋シンチグラフィの臨床応用について検討した.虚血性心疾患例を対象に123I-BMIPPダイナミックSPECTを施行すると,123I-BMIPP投与後2~5分で撮像される初期分布像は心筋血流を反映した像が得られている所見であった.その後10分以内に逆拡散によって123I-BIMIPPの集積低下が出現する領域があり,同部はTl像と乖離を呈した.123I-BMIPP心筋無集積例の早期動態をダイナミックSPECTで検討すると,投与直後からまったく心筋集積が認められなかった.脂肪酸が心筋細胞に移行する際には,キャリアプロテインの関与が報告されており,同例では血中から心筋細胞への移行の異常が推定された.ダイナミックSPECTを利用して123I-BMIPP初期動態を検討することにより,有用な情報が得られることから,今後の臨床応用が期待される.