1996 年 28 巻 Supplement7 号 p. 44-47
目的:顕性WPW症候群に対する高周波カテーテルアブレーション後の副伝導路の伝導特性について.加算平均心電図を用いて評価する.対象および方法: カテーテルアブレーションが成功し,体表心電図上デルタ波が消失した左側顕性WPW症候群30例および正常対照50例を対象とし,加算平均心電図を記録.Filtered QRS のonsetより10msec,20msec,30msecまでの積算電位をそれぞれIP10,IP20,IP30とし,初期電位変化の指標としてIP30/IP10を測定した.結果:IP10,IP20はWPW群で有意に小さく,IP30は2群間に差はなく,IP30/IP10はWPW群で有意に大であった.総括:左側顕性WPW症候群において,弁下部アプローチ法によるカテーテルアブレーション後の加算平均心電図は,正常対照と異なり,QRS初期成分に潜在性WPW症候群に類似した特徴が認められ,アブレーション後も順行性潜伏伝導が焼灼部位直上まで存在し,一部心筋の早期興奮を起している可能性が考えられた.