今回,心室中隔穿孔(VSP)および左室自由壁破裂をきたした心筋梗塞症例を経験し,外科的修復術にて救命した.また,術後低心拍出量症候群(LOS)に低濃度ミルリノンを使用し改善したので報告する.
症例は64歳の女性.急性前壁中隔心筋梗塞を発症し入院となった.約2日経過しており保存療法を開始した.心破裂予防を重視した.しかし,心嚢液は増加傾向を示した.心タンポナーデの兆候はなく経過観察していたが,8日目に心室中隔穿孔をきたした.直ちにIABPを挿入し,修復術を施行した.術中血圧低下,昇圧薬使用によりblow-out typeの心破裂も合併したが,心室中隔,左室自由壁パッチ縫縮術を行い帰室した.術後,LOSに陥ったが,低濃度ミルリノン静注により改善した.
結語:(1)VSPおよび左室自由壁破裂合併急性心筋梗塞を経験した.(2)左室パッチ縫縮術が有効であった.(3)左室縫縮術後のLOSに対する低濃度ミルリノン静注の有用性が示唆された.