心臓
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症例 腎生検により診断し得たPTCA後コレステロール塞栓症の1例
沼田 哲也大江 春人坂井 秀章原田 敬室屋 隆浩
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1999 年 31 巻 9 号 p. 667-672

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抄録

PTCA後に腎不全を発症し,腎生検によりコレステロール塞栓症(cholesterol embolization syndrome;CES)と診断し得た症例を経験した.症例は67歳,男性.右冠動脈#2完全閉塞に対し大腿動脈アプローチでPTCAを施行,2カ月後に腎不全を発症した.徐々に腎機能が悪化し,腎生検によりCESと診断した.原因として,PTCA時カテーテル操作による機械的刺激の関与が示唆された.その後,保存的加療で腎不全は軽快した(Cre.5.8→1.3mg/dl).CESは高度の腎機能障害,多臓器不全を呈し予後不良で生前診断は困難とされるが,血管カテーテル検査に際し常に当疾患の発生に留意すべきであり,本症例は生前に腎生検によりCESと診断し得た点,腎不全に自然軽快を認めた点が示唆に富むと考えられ報告した.

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