心臓
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症例 心筋梗塞発症に心筋ブリッジと冠攣縮が関与したと考えられた1例
佐久間 理吏上白土 洋俊井上 晃男石山 英子中田 俊之渡邊 淳一郎市原 美知子高柳 寛林 輝美諸岡 成徳
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2000 年 32 巻 2 号 p. 95-99

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抄録

59歳男性.1998年8月8日明け方,左前胸部痛,発汗が約10分持続した.翌9日同症状が再び早朝にあり,2時間持続した.発作時心電図でV1~4に著明なST上昇が一過性にあり,異型狭心症も疑われた.入院時発症4時間後の心電図では,V1~4でSTの上昇は消失し異常Q波が見られた.緊急冠動脈造影では,有意狭窄なく責任病変部の左前下行枝#7に心筋ブリッジによるsqueezingを認めるのみであった.左室前壁はakinesisで,駆出率46%であった.Peak CKは6570U,CK-MBは630Uであった.4週間後の冠動脈造影は同じ所見で,アセチルコリン負荷試験で#7心筋ブリッジの近位隣接部で冠攣縮を認めた.心筋ブリッジのすぐ近位は内膜が肥厚し,内皮が傷害されやすいと報告されており,本例の心筋梗塞発症には心筋ブリッジと冠攣縮が関与したと考えられた.

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