心臓
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臨床 IaおよびIb群薬抵抗性心房細動に対するpilsicainide, flecainide ならびにbepridilの長期予防効果
小松 隆中村 紳斎藤 栄太小林 孝男熊谷 浩司木村 正雄大和田 真玄奥村 謙
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2000 年 32 巻 9 号 p. 699-705

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抄録

【目的】IaおよびIb群抗不整脈薬治療後による再発を認めた発作性心房細動(Paf)に対するpilsicainide(Pil),flecainide(Fle),ならびにbepridil(Bep)の長期予防効果を検討した.
【方法】2~4週毎の定期通院例Paf193例(男性146例,女性47例,年齢66±9歳)を対象に無作為抽出を行い,観察期間36.3±11.6カ月におけるPil群150mg/日,Fle群150mg/日,Bep群150mg/日内服の長期予防効果を比較した.
【結果】各群における背景因子(年齢,性別,喫煙歴,飲酒歴,心肺基礎疾患,Paf病悩期間,Paf慢性化例,薬物的除細動成功例,IaおよびIb群使用薬剤数,心エコー法の諸指標,洞調律時心房性利尿ペプチド)に有意差を認めなかった.平均洞調律維持期間はPil群11.8±16.3カ月,Fle群13.8±16.4カ月,Bep群7.4±15.7カ月であり,Fle群がBep群に比し有意に高値であった(p<0.05).3カ月目,6カ月目,12カ月目ならびに24カ月目の各群における経時的非再発率は,Pil群(n=67):33例(49.3%),30例(44.8%),22例(32.8%),21例(31.3%),Fel群(n=63):31例(49.2%),25例(39.7%),21例(33.3%),19例(30.2%),Bep群(n=63):26例(41.3%),19例(30.2%),13例(20.6%),10例(15.9%)であり,観察期間24カ月目でPil群はBep群に比し有意に高値で(p<0.05),Fle群もBep群に比し高値の傾向であった(p=0.0894).
【結語】Ia,Ib群抗不整脈薬治療後に再発を認めた発作性心房細動例の抗不整脈薬長期予防効果は,bepridilに比しflecainideならびにpilsicainideがより有効な薬剤であることが示唆された.

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