2001 年 33 巻 1 号 p. 36-40
症例は4歳男児.出生時よりチアノーゼを認め,{S,L,L},左室性単心室症,肺動脈閉鎖,dextrocardiaの診断にて,生後1カ月時にleft modified Blalock-Taussig shunt(lt-mBTS),2歳時にrtmBTSを施行した.Shunt後の心カテにてPA index212.5,肺血管抵抗1.63unit/m2,平均肺動脈圧9mmHgであったため,3歳時に肺動脈再建術,右房肺動脈直接吻合によるFontan手術を施行した.術中,術後より上室性頻脈を認め種々の治療を行ったが,反応しなかった.術直後よりdigoxin,術後3日目よりdisopyramideの持続点滴を開始し,血中濃度が前者は2 n g / m l , 後者は5 μ g / m l で洞調律に復帰した.Fontan手術後急性期の難治性不整脈は致命的であるが,本症例では汎用されている薬剤の投与方法を工夫することで治療可能であった.