心臓
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第13回臨床不整脈研究会 Dual-loop Intra-atrial reentryが疑われる心房粗動に対しカテーテルアブレーションが成功した心房中隔欠損閉鎖術後例
板垣 和男櫻田 春水木村 卓郎深水 誠二岡綺 英隆岡野 喜史武居 一康野溝 明彦田村 拓二遠藤 光明山口 博明手島 保柳瀬 治西崎 光弘平岡 昌和
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2001 年 33 巻 Supplement5 号 p. 74-80

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抄録

患者は,ASD術後の43歳男性.発作性心房細動の外来治療中に,心房粗動(AFL)が出現したため,カテーテルアブレーション(CA)目的で,当科に紹介され,平成12年10月に,EPSを施行した.心電図上,II,III,aVF,V1にて陰性鋸歯状波を認めるAFL(1)で,三尖弁(TV)輪を反時計回転する興奮順序と,三尖弁峡部と冠静脈洞入口部(CSos)での, post pacing interva1(PPI)と粗動周期長(FLCL)との一致から,当初通常型と考えた.三尖弁峡部に線状CAを施行したところ,CLは変化することなくAFL(2)に移行した.TV輪上は,PPIとFLCLとが一致しなかったため,バスケットカテーテルを挿入したところ,右房側壁のA splineに平行した電気的障壁を時計方向に旋回する心房興奮順序で,A8付近と高位右房の刺激で,PPIがFLCLと一致した.ASD手術時の切開線のリエントリーを疑い,A8-IVC間に線状CAを施行したところ, AFL(2)が停止した. A-B spline間および三尖弁峡部のブロックラインとAFLの誘発不能とから成功と判断した. AFL(1)では,ヒス束電位記録部位よりも高位右房(HRA)の心房波が先行していることと,TV峡部やCSosからのpacing後のreturn cycleが, HRAでは, N-1回目の刺激に捕捉されていることから,Dual-loop Intra-atrial reentryが疑われた.

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