2002 年 34 巻 12 号 p. 976-978
冠状静脈洞開口部閉鎖症はまれな疾患であるが,それ単独で血行動態に影響を及ぼすことは少ない.しかしながら,先天性心疾患と合併した場合にはその限りではない.
今回,左心低形成症候群に合併した先天性冠状静脈洞開口部閉鎖症に対する外科的解除症例を経験したので報告する.生後8カ月時,完全右心バイパス術終了後心不全が進行し,カテーテル検査にて同疾患合併が初めて診断され,手術にて左上大静脈に還流していた冠状静脈を心房側に開口させた.同疾患に対し外科的解除術を行った例は本邦ではまだないと思われる.