心臓
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研究会 第36回理論心電図研究会 心筋トランスポーターの構造, 機能と病態への関与 Na+-Ca2+交換輸送体の薬理学的修飾
木村 純子渡邊 泰秀綿野 智一
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2002 年 34 巻 4 号 p. 306-312

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抄録

Na+-Ca2+交換を抑制する薬物をいくつか見つけたので,紹介したい.モルモットの心室筋細胞を用いて,ホールセルクランプ法でNa+-Ca2+交換電流(INCX)を誘発させ,それに対する薬物の効果を調べた.KB-R7943,BDM(2,3-butanedione monoxime)に加え,抗不整脈薬のアミオダロンやベプリジルがINCXを抑制した.細胞内に蛋白分解酵素であるトリプシンを入れておくと,BDM,アミオダロン,ベプリジルの抑制作用は,減弱した.このことから,これらの薬物が,細胞内から抑制効果を及ぼしている可能性が示唆された.KB-R7943はトリプシン感受性を示さなかった.KB-R7943は,一方向性のINCXを誘発する条件では,外向きINCXを内向きINCXより強く抑制する.しかし,両方向のINCXが交互に流れるような条件では,両方向とも同様に抑制する.このことから,KB-R7943の"方向依存性"抑制作用は,INCXを誘発する実験方法による見かけ上の作用である可能性がある.

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