抄録
症例は14歳,男児.6歳頃より運動中・直後に失神発作を繰り返し,脳波およびECG異常から癲癇発作もしくは心室性不整脈が疑われ,インデラルおよび抗癲癇薬が処方された.9歳時に兄が突然死したが,そのECG所見が本例に類似していたため,精査目的で当院小児科に入院した.運動負荷心電図,心エコー,心筋RI検査,心臓カテーテル検査等では異常を認めなかった.13歳時,発作再発のため当科に入院,加算平均心電図ではlate potential陽性で,電気生理学的検査では洞機能および房室伝導は保たれ,頻脈性不整脈は誘発されなかった.何らかの基礎心疾患に伴う致死性不整脈を否定し得ず,ICDを植込み,β遮断薬を併用した.14歳時,TVゲームで遊戯直後,失神発作を起こし,死亡した.ICDの記録では,心室性期外収縮を契機に心室細動へ移行,計6回の除細動(30J)は無効であった.