心臓
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HEART's Original [臨床研究] 中国四国地区におけるアンケートによる冠攣縮意識調査
冠攣縮に関するガイドライン作成の必要性
末田 章三井添 洋輔河野 浩明福田 浩
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2005 年 37 巻 11 号 p. 924-930

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抄録

わが国の虚血性心疾患は,欧米人に比して冠攣縮の関与が約3倍高値であるとすでに報告されている.しかし,現在は冠動脈インターベンション全盛期であり,心臓カテーテル検査室内で冠攣縮誘発負荷試験に時間を割く施設は少ないものと推測される.過去に,愛媛県と日本シネアンジオ研究会会員を対象に冠攣縮に関するアンケート調査を行ったが,その認識において施設問格差が著明であった.今回は,全国調査の一環として,中国四国地区の循環器科123施設を対象に同様のアンケート調査を行った.質問事項は,冠攣縮誘発薬剤(1~6)・冠攣縮誘発負荷試験施行時の適応基準と判定基準(7~9)・投薬治療(10~14)・非観血的負荷試験(15~17)・病態差異・異型狭心症頻度(18~22)・禁煙その他(23~26)で,回答は複数回答可とした. 回収率は,39%(48/123) であった.する意識・認識において結果は施設問で格差が著明であった,また,わが国の循環器科医が相反する意識・認識を有していることを示唆する項目も多く認められた.これらの事実は,わが国の循環器科医が冠攣縮に対する共通の認識,意識を持つことの必要性と,冠動脈インターベンション技術の習得とともに冠攣縮誘発負荷試験の技術習得にも心掛ける必要性を示唆している.わが国の循環器科医の冠攣縮に関する意識・認識の向上を図るためにも,「冠攣縮に関するガイドラインの作成」が必要と思われた.

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