心臓
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HEART's Original [症例] 飲酒による意識消失の原因が心室頻拍によると考えられた肥大型心筋症の1例
小栗 光俊鈴木 理吉田 哲郎加藤 公彦米山 明彦日比野 剛横井 清
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2005 年 37 巻 11 号 p. 939-943

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抄録

症例は70歳,男性.主訴は意識消失.肥大型心筋症,本態性高血圧症にて治療中であった.2000年9月に飲酒中に数分間の意識消失を認めた.2003年になり同様な飲酒中の意識消失を3度認めた.精査目的にて当院に紹介受診となった.心エコー図では非対称性左室肥大,心尖部肥大を認めた.壁運動は良好であり左室内腔の拡大はみられなかった.左室造影では収縮末期にスペード型を呈し心尖部にわずかに造影剤が残存を認め,左室中部閉塞型への移行型と考えられた.心臓電気生理検査では,右室流出路からの頻回刺激で心室頻拍が容易に誘発され,心室細動へと移行したため除細動を要した.植込み型除細動器植込み術を施行し,βブロッカーの併用を行って経過観察しているが,これまでに失神の再発は認めていない.本症例におけるアルコール摂取の催不整脈性は必ずしも明らかではないが,不整脈基盤にアルコール摂取時の自律神経興奮が過敏に作用することによって心室頻拍が惹起されやすい病態であったと考えられた.

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