2007 年 39 巻 5 号 p. 448-453
背景:Cypherステントはシロリムス溶出性ステントであるが,そのプラットフォームはBxステントである.当院におけるCypherステントの成績をBxステントのそれと比較検討し報告する.
方法:2004年8月-2005年5月までに当院で待機的経皮的冠動脈形成術を施行しCypherステントを留置した連続225症例,252病変(Cypher群)と,2001年10月-2002年9月まで待機的経皮的冠動脈形成術Bxステント留置を受けた連続188例,210病変(Bx群)について手技,慢性期の冠動脈造影について定量的冠動脈造影法で評価した.
結果:全例手技成功した.非Q波梗塞と亜急性血栓閉塞をそれぞれ1例ずつCypher群に認めた.Cypher群の再狭窄率は8.8%で標的血管再血行再建術(target lesion revascularization;TLR)は6.0%であった.Bx群は再狭窄率29.6%(p<0.01)でTLRは20.1%(p<0.01)であった.Cypher群の慢性期定量的冠動脈造影法による評価ではlate loss0.30±0.77mm,loss index0.09±0.39で,Bx群ではlate loss 1.08±0.60mm(p<0.01),loss index 0.55±0.60(p<0.01)あった.
結語:Cypherステントの長期成績は再狭窄率,TLRともBxステントよりも良好であった.