2008 年 40 巻 7 号 p. 642-646
症例は10歳,男児.2006年12月呼吸困難を主訴に救急受診した.両肺うっ血あり,心電図にてST上昇を認めたため,心エコーを行ったところ,広範な左室壁運動低下を認めた.当初は川崎病の既往が不明であったことから心筋炎が疑われたが,冠動脈病変の可能性も捨てきれず,冠動脈造影を行ったところ左冠動脈主幹部(LMT)の閉塞を認めた.血栓吸引を行ったところ,LMTの巨大冠動脈瘤が判明.バルーン拡張,ウロキナーゼ冠注を繰り返し,再灌流に成功した.大動脈内バルーンパンピング(IABP)に加え,術後経皮的心肺補助装置(PCPS)の導入を要したが,壁運動は徐々に改善し,最終的にはPCPS,IABPともに離脱可能であった.今回小児期発症のLMT急性心筋梗塞という稀な症例に対し,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行い救命し得たため,文献的考察を加え報告する.