心臓
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HEART's Original [症例] 原発性鎖骨下静脈血栓症(Paget-Schroetter症候群)に対してシャフト付き一時留置型静脈フィルター(ニューハウスプロテクト)を上大静脈に留置し血栓溶解療法を行った1例
一瀬 哲夫小島 諭宮崎 彩記子宮崎 忠史林 英守伊藤 誠悟川村 正樹諏訪 哲櫻井 秀彦住吉 正孝
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2008 年 40 巻 9 号 p. 806-810

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抄録
症例は64歳,男性.数日前に左上肢を枕にして昼寝をしていたところ,突然の左上肢浮腫を認めたため来院.明らかな血栓性素因,悪性疾患を認めなかったが,左上肢の静脈造影,造影CTで左腋窩静脈の高度狭窄と,左鎖骨下静脈の遠位部の完全閉塞と近位部に浮遊血栓を認めた.肺動脈血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism;PTE)の予防のため上大静脈に一時留置型静脈フィルター(ニューハウスプロテクト)を留置し,7日間のウロキナーゼ投与,およびヘパリン療法を開始した.線溶療法後の静脈造影では浮遊血栓は消失し,左鎖骨下静脈に器質化した血栓を認めた.フィルターは10日目に合併症なく抜去した.原発性鎖骨下静脈血栓症(Paget-Schroetter症候群)によるPTE予防に一時留置型フィルターは有用であると思われた.
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