心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 WPW症候群ST-T異常に関する検討
石川 兵衞土居 通明籠島 忠福村 順坂本 貞和長谷川 昌三
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 7 巻 10 号 p. 1178-1185

詳細
抄録

WPW心電図におけるST-T異常は心室早期興奮に基づく二次性変化とされているが,WPW症候群患者の場合にも,ことに中年以上の症例では,器質的心疾患その他の原因による一次性ST-T異常を合併している可能性がある.われわれはWPW症候群66例(RosenbaumのA型28例,B型35例,非定型3例)を対象として,二次性ST-T変化と一次性ST-T異常の判別に検討を加えた.
(1)WPW心電図におけるST-T異常の出現頻度はA群50%,B群80%で,その多くはprocaine amide静注による房室伝導の正常化によって消失した.正常化前後のventricular gradient(G)は不変であり,消失したST-T異常は二次性変化であったと考えられる.(2)正常房室伝導時にST-T異常またはMaster二重二階段試験陽性を示した症例は,大部分がB型で,合併症・異常が高率であり,房室伝導が偽正常化にとどまっている可能性も否定はできないが,一次性ST-T異常の存在が強く疑われる.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top