心臓
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症例 心音図,心機図学的に検討した末梢動静脈瘻の1例
福田 健斉藤 信雄戸村 光宏福田 仁
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1975 年 7 巻 8 号 p. 963-968

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抄録
心音図,心機図学的に検討した外傷性左膝窩動静脈瘻の1例を報告した.
52歳,男,戦争中,四肢に爆創を受け,最近左下肢の腫脹が出現して入院.左膝窩部,左鼠径部で連続性雑音を認め,前者では圧迫により,雑音減弱,拡張期圧上昇,心拍数減少(Nicoladoni-Branham微候)を呈したが,後者では認めず,逆に雑音は増強し,後者は前者の伝達雑音および静脈コマ音と考え,左膝窩動静脈瘻の手術を施行.術後,後者の雑音も消失した.末梢動静脈瘻の循環動態の変化は,心拍出量の増加であり,本症例でも心拍出量7.8l/min,心係数4.9l/min/M2と,増加を認めた.一方,心機図学的にも,左室収縮時間(STI)諸値に心拍出量増加の傾向が反映されており,右頸動脈波曲線では,Pulsus Bisferiensを認めた.しかし,術後の心機図検査では,STI諸値は,ほぼ正常範囲内にあり,Pulsus Bisferiensも消失した.本症の心機図に影響を及ぼす因子について,若干の考察を加えた.
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