心臓
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研究 プロスタグランジンE1の血行動態作用
特に低酸素血症と酸血症での副作用について
門間 和夫上村 茂松岡 優
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1977 年 9 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

プロスタグランジソE1(PGE1)の臨床使用上の安全性を確立する目的で,麻酔開胸下の成猫16匹を用い,空気による呼吸中と低酸素血症下での左房内注入(0.1γ および2γ/kg/分)の血行動態を検索した.空気呼吸中では0.1γ注入開始後次第に末梢血管拡張を生じ,5分後には大動脈平均圧-11.3±3,3%(変化率,m±SE),体血管抵抗-13.0±2.3%となった.心拍出量と心筋張力は軽度上昇した.2γ注入ではより著しい末梢血管拡張を生じ,大動脈圧と体血管抵抗は約2倍低下した.低酸素血症下と酸血症下では同様の体血管拡張が生じ,心拍出量と心筋張力は逆に低下した.PGEの作用には種属差があるが,臨床上チアノーゼ性心疾憲乳児にPGEを使用する際の血行動態作用が未だ充分解明されてないのが現状なので,PGEにより心拍出量と心筋張力低下のおこりうることも念頭において臨床使用すべきである.

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