植物環境工学
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論文
シイタケの乾燥特性モデル解析
河野 俊夫北野 雅治松岡 孝尚石川 勝美
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2005 年 17 巻 3 号 p. 144-149

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抄録

シイタケは,収穫時の含水率が高いため,乾燥過程で表面積の急激な減少が起こる.乾燥の進行に伴うシイタケの表面積の変化を正確に推定することはシイタケに最適な乾燥モデルを求めるために有効である.
本研究では,まず,乾燥中のシイタケの表面積と含水率との間に新しい関係式を見出すために二つの実験を行った.一つは,乾燥中のシイタケの表面積と体積の関係を求めるための実験であり,測定の方法に画像計測を利用するものである.もう一つはシイタケの密度と含水率との関係を求めるための実験である.これらの関係式を組み合わせることによって,乾燥中のシイタケの表面積と体積との間の新しい関係式を得た.
次に40, 50, 60℃ の乾燥空気温度で,シイタケの自然対流乾燥実験を行い,異なる乾燥メカニズムの視点に基づく二つの乾燥モデルを構築した.乾燥中の含水率の推定精度を比較した結果,見かけ上の恒率乾燥モデルによって導かれた乾燥式が実験を行ったすべての乾燥温度において優位であることが示された.
本研究で新たに構築した乾燥式は,シイタケの乾燥機の設計に役立つ他,シイタケと同程度の高含水率の農産物の乾燥への応用にも役立つであろう.

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© 2005 日本生物環境工学会
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