植物環境工学
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論文
施肥量の違いがミズナおよびコマツナの生育と硝酸イオン濃度に及ぼす影響
近藤 謙介竹下 あゆみ松添 直隆
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2008 年 20 巻 4 号 p. 242-246

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抄録

施肥量の違いがミズナの生育と硝酸イオン濃度に及ぼす影響を,同じアブラナ科で硝酸イオン濃度が高い葉菜類の一つであるコマツナを比較対象として検討した.施肥処理は大塚A処方0.5単位を標準区(S区)とし,1/4S区,1/2S区,S 区,2S区,3S区および4S区の計6区とした.ミズナの生育は4S区に比べ2S区~3S区が良好だった.一方,コマツナは施肥量の増加とともに生育量も増加する傾向がみられた.ミズナの硝酸イオン濃度はいずれの調査日においても施肥量の増加とともに高くなる傾向がみられ,硝酸イオン濃度に及ぼす施肥量の閾値はわからなかった.一方,コマツナの閾値は2S区~3S区に存在すると考えられた.さらに,播種後40日目に最も高くなったのはミズナとコマツナともに4S区で,一般的な値のそれぞれ約6倍と約2倍になった.SPAD値はミズナがコマツナより低かったが,ともに1/2S区以下とS区以上を境界としてSPAD値に差が認められた.以上の結果から,ミズナの生育と硝酸イオン濃度に及ぼす施肥量の影響はコマツナとは異なることが明らかとなった.さらに,ミズナの硝酸イオン濃度はコマツナに比べ施肥量により急激に高くなる可能性があり,コマツナよりも窒素施用量に注意が必要であると推察された.

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© 2008 日本生物環境工学会
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