抄録
植物工場三重実証拠点では, 太陽光利用型植物工場により, トマトとイチゴの栽培実証を行っている. 当実証拠点では, 各種環境制御装置とUECS®を用いた高度な環境制御技術による周年生産の実証に取り組んでいる. トマトの栽培方式には, ロックウール耕による低段密植栽培を取り入れ, 周年安定生産体系の構築に努めている. イチゴにおいては, 三重県育成品種‘かおり野’を用いた作期拡大と, 種子繁殖型品種の栽培実証を行っている.
実証開始から1年以上が経ち, 大規模区画ならではの成果が作出されつつある. 今後は環境データ, 環境制御運転情報, 収量データ等をさらに蓄積しながらデータ解析を進め, 効率的な周年安定生産を行うための屋外気象や生育ステージ等の各条件に対応する最適環境制御マニュアルの構築, 効率的なCO2施用方法の確立, 夏の高温対策, 周年防除体系の計画等の課題に取り組む必要がある.