植物環境工学
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論文
超低磁場NMR装置の開発と非破壊での食品類の状態分析
柳橋 秀幸阿部 航也平間 淳司小山 大介八田 純一
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2021 年 33 巻 1 号 p. 12-19

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抄録

一般に,低磁場ではNMR信号検出が困難とされる中で,本研究では永久磁石を用いた磁場強度52 mTの超低磁場なNMR測定装置を開発し,これを用いた緩和時間の測定結果の妥当性を評価するとともに,非破壊での食品類の品質評価,特に果実類の糖度変化やヨーグルトの熟度診断への有用性を検討した.非破壊によるウンシュウミカンの緩和時間測定ではT1の変化から糖度変化を,T2の変化から果実内部の水分量変化を推測できる可能性が示唆され,本装置は熟度診断としての有用性が見込まれることを示した.ヨーグルトの緩和時間測定ではT2の変化からゲル化の進行状態を把握し,発酵状態を推測できることを示した.以上のように,本研究で開発した卓上型で軽量かつ超低磁場NMR測定装置は,非破壊で食品類の品質ならびに状態を分析・評価する装置として期待が持てると結論した.

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© 2021日本生物環境工学会
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