日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: S2-1
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主題セッション2 難治性小腸疾患の診断と治療
当院におけるMEFV遺伝子関連腸炎の臨床的特徴に関する検討
*齋藤 大祐松浦 稔尾崎 良菊地 翁輝徳永 創太郎箕輪 慎太郎三井 達也三浦 みき櫻庭 彰人林田 真理三好 潤仲瀬 裕志久松 理一
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抄録

【背景と目的】 家族性地中海熱は周期性発熱と漿膜炎を特徴とする自己炎症性疾患であり、MEFV遺伝子が原因遺伝子として同定されている。近年、MEFV遺伝子変異を伴いIBD類似の内視鏡像を呈する症例が注目されているが、複数症例を検討した報告は少ない。そこで今回我々は、当院で経験したMEFV遺伝子変異を伴うIBDU患者の臨床像を後方視的に検討した。

【方法】 2016年4月から2018年12月までに当院でIBDUと診断した8例についてMEFV遺伝子解析を行い、症状、遺伝子変異の有無、血清マーカー(CRP、SAA)、内視鏡像、コルヒチンに対する反応性について検討した。

【結果】 症状は下痢(n = 8、100%)が最も多く、続いて血便(n = 3)、腹痛(n = 3)、発熱(n = 2)であった。MEFV遺伝子変異は4例(50.0%)に認められた。CRPは4例(50.0%)で有症状時に著明高値(≧10mg/dL)を示し、SAA は5例(62.5%)で陽性、その内2例で著明高値(1,830μg/dL、2,034μg/dL)を示した。大腸内視鏡所見はUC類似の所見に加えてrectal sparing、右側優位大腸炎、pseudopolyposis、顆粒状粘膜など多彩な病変であったが、いずれの症例も上部消化管および小腸に有意な所見を認めなかった。コルヒチンは5例(MEFV変異あり4例、MEFV変異なし1例)に投与され、全例で臨床的および内視鏡的改善を認めた。

【結語】 IBDUと診断された患者の中にコルヒチンの奏功するMEFV遺伝子関連腸炎が混在している可能性がある。本研究では大腸病変を有する症例のみであったが、今後、他の消化管病変を有する症例も含めた更なる検討が必要と考えられた。

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© 2019 本論文著者
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