日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: O3-3
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一般演題3
カプセル内視鏡が滞留した放射線性腸炎の1例
*深田 憲将若松 隆宏島谷 昌明中川 達也田中 敏宏鈴木 亮富山 尚福井 寿朗岡崎 和一
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抄録

【症例】 60歳代女性 【主訴】 CEA高値

【現病歴】 以前より時折腹痛を自覚し、他院に通院中であった。以前よりCEA高値を指摘されていたが、CEA漸増を指摘され、精査目的で紹介受診となる。

【既往歴】 20歳代虫垂炎手術、50歳代子宮体癌、子宮全摘後、放射線療法後

【来院時現症】 腹部:平坦、軟、下腹部に軽度圧痛を認める。 【血液検査所見】 CEA12.5ng/ml

【経過】 腹部造影CTで骨盤内腸管に屈曲像と腸管壁肥厚を認めた。FDG-PETでは異常集積を認めなかった。上部消化管造影を行い、大腸到達まで観察を行ったが、バリウムの通過は良好で明らかな狭窄や粗大病変を指摘されなかった。パテンシーカプセル(PPC)を服用し、33時間後にPPCの排出を認めなかったが、腹部レントゲン検査で直腸にあると判断しカプセル内視鏡(CE)検査を開始した。カプセル内視鏡は8時間経過するも大腸へ到達せず、再度腹部レントゲンを撮影するとPPCは9時間前に撮影した際の位置と変化を認めなかった。2週間後に腹部レントゲンを撮影するとPPCは確認できなかったが、CE骨盤腔内に確認し、CE滞留と判断した。さらに2週後に経口ダブルバルーン内視鏡検査を施行し除去を試みたが、CEまで到達できず、回収できなかったが、翌日自然排出した。

【結語】 放射線性腸炎に対するCEの有用性が報告されているが、放射線性腸炎は強い癒着を起こすことがあり、屈曲も強くなり消化管通過性が悪くなることをしばしば経験する。放射線治療歴を有するカプセル内視鏡検査は適応を慎重に検討する必要がある。

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© 2019 本論文著者
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