日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
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Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: S3-5
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シンポジウム3 小腸検査法の進歩:小腸内視鏡、カプセル内視鏡、SIBO、Leaky gut
小腸内細菌異常増殖症(SIBO)に関連する検査法の比較検討
*馬場 重樹髙橋 憲一郎佐々木 雅也安藤 朗
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抄録

【目的】小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の診断には消化管内腔液の定量培養検査や呼気検査が用いられるが、十分に普及していないのが現状である。今回、腹部膨満などの消化器症状を訴える患者を対象としたSIBO関連検査の結果を報告する。

【方法】2018年12月よりSIBOが疑われた症例22例に対し腸液の定量培養検査とグルコース負荷による水素呼気試験にて定量解析を実施した。腸液は十二指腸及び空腸から採取した。グルコース負荷後90分以内に呼気中の水素濃度が20 ppm以上上昇すれば水素呼気試験陽性と判定した。

【結果】水素呼気試験陽性例は22例中11名に認めた。陽性例は全例グルコース負荷20分後には20 ppm以上の上昇を認め、陽性例のベースラインと比較した上昇水素濃度(⊿値)は62~383 ppmであった。腸液培養検査による定量培養にて105個以上となった症例は十二指腸液で36.3%、空腸液で40%、103個以上となった症例は十二指腸液で72.7%、空腸液で65.0%であった。定量培養にて103個以上の菌数が検出された症例において最も占有率の高い菌種は十二指腸液、空腸ともにStreptococcusであった。水素呼気試験と培養法の結果の一致率をカッパ係数にて検討したが、105個をカットオフ値とした空腸液の培養結果が最もカッパ係数が高かったが0.40にとどまった。

【結語】水素呼気試験では陽性例と陰性例が比較的明瞭に判別可能であった。しかしながら、水素呼気試験で陽性となった症例も培養法で陰性になる場合があり、菌量が多い部位からのサンプリングが行えていない可能性が示唆された。

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© 2020 本論文著者
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