日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
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Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: S3-6
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シンポジウム3 小腸検査法の進歩:小腸内視鏡、カプセル内視鏡、SIBO、Leaky gut
シネMRIを用いた原因不明の小腸ガスによる腹部膨満症の病態考察
*大久保 秀則中島 淳
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抄録

【目的】腹部膨満症状は日常臨床で頻繁に遭遇する症候の1つである。その中には過敏性腸症候群(IBS)や機能性ディスペプシア(FD)等の機能性消化管疾患、慢性偽性腸閉塞症(CIPO)等の難病や小腸内細菌異常増殖症(SIBO)など数多くの病態が包含される。しかしこのいずれにも属さない原因不明の小腸ガスを特徴とした腹部膨満症が存在し、診療に苦慮することがしばしば見受けられる。我々はこれらの症例に対してシネMRIを行い、腸管蠕動の観点から病態の特徴を後ろ向きに検討した。

【方法】2011年4月から~2020年6月までに腹部膨満症状で当院受診した患者のうち、Rome基準によりIBSとFDが否定的、および厚労省診断基準でCIPOが否定的、さらに水素呼気試験でSIBOが否定的な原因不明の小腸ガスによる腹部膨満患者9名を対象とし、シネMRIの特徴を健常者およびCIPO患者と比較した。

【結果】平均小腸径は24.7mmで、健常者11.1mmと比べ拡張傾向であったがCIPO患者43.4mmよりは明らかに拡張が軽度であった。一方収縮率は54.8%で、健常者73.0%に比べて低かったが、CIPO患者17.1%と比べて収縮は保たれていた。なお、健常者で見られるような完全収縮(腸管径=0mm)は見られず、どの症例も不完全な収縮ばかりであった。

【考察】原因不明の小腸ガス貯留患者では、小腸収縮運動が不十分でありガス輸送能力が低いことが病態の1つと考えられた。ガスがどこから来るのかを解明することが今後の課題と考えられる。

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© 2020 本論文著者
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