【目的】循環器疾患の併存例においては、過度のずり応力による後天性フォンウィルブランド症候群(AVWS)を生じることが明らかになった(Loscalzoら. N Engl J Med. 2012)。しかしその病態、特に小腸病変に関する報告は未だ不明な点が多い。本研究ではAVWSの症例を対象とし、小腸病変の所見を明らかにすることを目的とする。
【方法】単施設にて前向き検討を行った。本学医学倫理審査委員会にて承認された(ERB-C-1549)。AVWSの症例として、2020年1月~20年5月の間に当院にて重症AS患者で貧血(Hb<11g/dl)を有する12症例を対象とした。小腸カプセル内視鏡を含む全消化管内視鏡検査を施行し、Hb値、消化管粘膜angioectasiaの頻度などを検討項目とした。
【結果】対象は12例、男性/女性;3/9例、平均年齢86.5歳、Hb中央値(範囲)は9.8(7.2-10.7)g/dlであった。内服はLow-dose aspirin 67%(8/12)、Thienopyridine 33%(4/12)、DOAC 25%(3/12)であった。全例(12/12)でangioectasiaを認めた。内訳は上部17%(2/12)、大腸42%(5/12)、小腸83%(10/12)であった。
【結論】貧血を有するAVWSにおいては、80%以上の症例で小腸粘膜にangioectasiaを認めた。