日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第59回日本小腸学会学術集会
セッションID: JS2-2
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合同シンポジウム2 クローン病小腸病変のTreat to target (T2T)
クローン病小腸病変と血液バイオマーカーの検討
*北村 和哉林 智之岡藤 啓史鷹取 元水腰 英四郎金子 周一
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抄録

【目的】クローン病小腸病変の評価を簡便に行うためには、血液バイオマーカーの位置づけが重要になると考えられたため本検討を行った。【方法】2021年4月より7月の期間に当院でロイシンリッチa2グリコプロテイン(LRG)測定を行った107例のうち、小腸病変を有する92例を対象とし、臨床的活動性や内視鏡的活動性と血液バイオマーカーの関係について横断的に検討した。【結果】対象のモントリオール分類は、L1:L3が31例:61例、B1:B2:B3が28例:38例:26例であった。治療内容は、59例で生物学的製剤(抗TNF抗体43例、抗IL-12/23p40抗体16例)、60例で免疫調整剤、36例で成分栄養が施行されていた。LRG測定時の臨床的活動性は、Harvey-Bradshaw Index (HBI) 1点以下が50例であった。HBI 1点以下を臨床的寛解とし、LRG、CRP、血清アルブミンを寛解群と非寛解群で比較すると、LRG (15.7 vs 21.5, p = 0.003)、CRP (0.25 vs 0.76, p = 0.02)、血清アルブミン (4.0 vs 3.7, p = 0.005)と有意差を認めた。次にLRG測定の6か月以内に内視鏡を施行した45例で、LRG、CRP、血清アルブミンを粘膜治癒群と非治癒群で比較すると、LRG (10.8 vs 22.5, p < 0.0001)、アルブミン (4.3 vs 3.7, p < 0.0001)で有意差を認めたが、CRPでは有意差を認めなかった(0.09 vs 0.88, p = 0.06)。ROC解析では、AUCがLRGでは0.896、CRPでは0.775、アルブミンでは0.858であった。【結論】小腸病変の血液バイオマーカーとして、LRGや血清アルブミンの有用性が示唆された。複数のマーカーの組み合わせや重み付けで、さらに精度の高いバイオマーカーの確立が望まれる。

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© 2021 本論文著者
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