食品衛生学雑誌
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食肉中に残留する抗菌性物質の微生物学的簡易検査法
堀江 正一小林 晴美石井 里枝井部 明広藤田 和弘丹野 憲二中澤 裕之
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2008 年 49 巻 3 号 p. 168-176

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抄録

畜産食品中に残留するペニシリン系抗生物質(PCs),セファロスポリン系抗生物質(CEs),テトラサイクリン系抗生物質(TCs),マクロライド系抗生物質(MLs),キノロン系抗菌剤(QNs)などを中心とした,より多くの抗菌性物質を同時に検出できる微生物学的試験法を検討した.食肉からメタノールでホモジナイズ抽出し,10分間遠心分離後,その上清を微生物学的試験法に供した.市販芽胞菌を含めた4種の検査用平板培地(Bacillus subtilis BGA(AM8培地,AM5培地),Micrococcus luteus ATCC 9341およびGeobacillus stearothermophilus)を用いることにより,代表的な抗菌性物質(ペニシルンG,アンピシリン,セファピリン,セファレキシン,エリスロマイシン,スピラマイシン,オキシテロラサイクリン,クロルテトラサイクリン,エンロフロキサシン,オキソリン酸)を感度よく(0.005~2.5 μg/g)検出できた.本法は,動物用医薬品として汎用され,畜産食品中に残留する可能性の高いPCs, CEs, MLs, TCs, QNsなどを簡易かつ迅速に検出することが可能であると思われる.

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© 2008 公益社団法人 日本食品衛生学会
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