食品衛生学雑誌
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馬肉中に含まれる住肉胞子虫の危害性消失条件の検討による生食用馬肉を共通食とする食中毒事例の発生防止対策に関する研究
原田 誠也古川 真斗徳岡 英亮松本 一俊八尋 俊輔宮坂 次郎斉藤 守弘鎌田 洋一渡辺 麻衣子入倉 大祐松本 博小西 良子
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2013 年 54 巻 3 号 p. 198-203

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抄録

熊本県では,馬刺しを共通食とする原因不明の一過性嘔吐下痢症事例が最近3年間で毎年27件以上発生していた.同事例の原因はSarcocystis fayeri住肉胞子虫で,本研究では一定時間の冷凍処理で住肉胞子虫のシストがペプシンにより消化されその毒性を失うことを見いだした.同胞子虫シストを含んだ馬肉を-20℃で48時間以上冷凍したところ,シスト由来の毒性タンパク質の消失も確認された.本研究で確立した冷凍条件を用いての冷凍処理の普及により,平成23年10月以降,馬刺しが原因と考えられる食中毒の発生報告はなく,この冷凍処理基準が,馬刺しによる食中毒防止対策として有効であることが示唆された.

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© 2013 公益社団法人 日本食品衛生学会
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