食品衛生学雑誌
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2016年から2017年の東京都におけるA型肝炎ウイルスの分子疫学的解析
小田 真悠子 宗村 佳子永野 美由紀木本 佳那奥津 雄太新開 敬行貞升 健志
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2018 年 59 巻 6 号 p. 257-264

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抄録

A型肝炎は潜伏期間が約1か月と長く,聞き取りによる感染源調査が困難な場合が多い.感染経路の解明や広域集団発生の確認を行うためには,患者検体から検出されたウイルス株の分子疫学的解析が有用であるとされている.そこで2016~2017年に都内で積極的疫学調査として発生届が提出された患者検体108例について遺伝子検査を実施し,HAV陽性となったものについて分子疫学的解析を実施した.99例からHAV遺伝子が検出され,遺伝子型の内訳は,IAが91例,IBが2例,IIIAが6例であった.また,系統樹解析から,最も多く検出されたIAは4つの大きな系統に分類され(IA-1,IA-2,IA-3,IA-4),各患者にはそれぞれに特徴的な疫学的背景が認められた.今回の解析で得られたHAVのシークエンスデータおよびそれらが検出された患者の疫学的背景に関する情報は,今後新たにA型肝炎患者が発生した場合の感染源や感染経路を推定するための科学的根拠として活用できると考えられた.

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© 2018 公益社団法人 日本食品衛生学会
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