食品衛生学雑誌
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合成洗剤のヒト赤血球の溶血性および解糖系に及ぼす影響
新村 寿夫高村 二三知時枝 利江山羽 力
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1977 年 18 巻 6 号 p. 529-536_1

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抄録

合成洗剤の安全性研究として, 各種洗剤によるヒト赤血球の溶血性および赤血球の解糖に及ぼす影響をin vitro で検討した. 高希釈血液の50%溶血は7~73ppmの洗剤で生じたが, 血液の2倍希釈に当たる低希釈血液の50%溶血には, 約100倍高濃度の洗剤を必要とした. この溶血性の強さは洗剤の表面張力低下作用とほぼ平行関係にあった. またあらかじめ赤血球を洗剤で処理しても, 解糖に影響は見られなかったが, 溶血した赤血球の解糖は陰イオン性洗剤により50~70%阻害され, 非イオン性洗剤により30~100%促進された. この阻害は解糖系酵素と陰イオン性洗剤が複合体を形成したため, また促進は非イオン性洗剤によるアルドラーゼ活性の促進が寄与していると思われた.

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