食品衛生学雑誌
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缶コーティングから飲料へのビスフェノールAの移行
河村 葉子佐野 比呂美山田 隆
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1999 年 40 巻 2 号 p. 158-165_1

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抄録

飲料中のビスフェノールAは, ポリスチレン固相カートリッジにより抽出精製し, TMS化後GC/MS/SIMにより定量した. 缶入飲料47種類中のビスフェノールA含有量及び検出頻度は, コーヒー飲料で3.3~213ng/mL (11/13) と最も高く, 次いで紅茶飲料8.5~90ng/mL (4/9),茶飲料3.7~22ng/mL (5/8) であったが, アルコール飲料では13ng/mL (1/10) のみで, 清涼飲料7検体からは検出されなかった. 缶コーティングの材質別では, 天蓋部が塩化ビニル樹脂の試料で高い移行がみられたが, 天蓋部がエポキシ樹脂で本体がPETの場合は移行はわずかであり, 天蓋部本体ともエポキシ樹脂ではその中間の移行量を示した. また飲料缶を60℃で4週間保存しても移行量は増加しなかった. 1缶当たりのビスフェノールA移行量は最大で40μgであった.

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