食品衛生学雑誌
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食品汚染細菌に対する卵白リゾチームの溶菌性について
(I) Escherichia coliおよびProteus vulgarisに対する溶菌性
赤司 景
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1965 年 6 巻 6 号 p. 543-549

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抄録

食品汚染菌であるProteus vulgarisおよびEscherichia coliを, それぞれリン酸緩衝液でpH 7.2に調整したペプトン水に接種して供試菌液を調整し, これにそれぞれ0.0125, 0.025, 0.05, 0.1, 0.2%の卵白リゾチームを添加して, 37°で72時間培養し, その培養開始時, 培養1, 24, 48, 72時間後における透過度 (560mμ) を測定するとともに, 培養72時間後における各供試菌体の電子顕微鏡写真を撮影し, 卵白リゾチームのこれら供試菌に対する溶菌作用を調査した.
その結果によると, 両供試菌株を通じ, 培養72時間後において, いずれの場合もリゾチイム濃度が0.05%のときに最も強い溶菌作用を示し, 以下リゾチーム濃度が0.025, 0.0125, 0.1, 0.2%の順にその溶菌作用は弱くなり, リゾチームの添加量が0.05%より多くても少なくてもその溶菌作用は低下したが, この場合むしろリゾチーム濃度が0.05%より濃い場合の方がかえってその溶菌作用は弱かった.
また両供試菌株に対する卵白リゾチームの溶菌作用を比較すると, Proteus vulgarisに対する場合よりも, Escherichia coliに対する場合の方が溶菌作用は大であった.

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