小児耳鼻咽喉科
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原著
当科における乳幼児深頸部膿瘍症例の検討
及川 敬太藤田 香砂田 哲宮 卓也
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2009 年 30 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

  過去 5 年 9 カ月間に当院で入院治療を行った 0 歳から 3 歳の深頸部膿瘍 7 例ついて検討を行った。最も多い症状は頸部腫脹と38°C以上の発熱であった。咽後膿瘍を呈した 4 例ではいずれも経口摂取低下を認めた。全例で造影 CT 検査を施行し,膿瘍はいずれも周囲がリング状に増強され,内部に低吸収域をもつ腫瘤陰影として描出された。3 例で MRI 検査を施行し,膿瘍は T2 強調像で内部高信号の腫瘤陰影として描出された。後頸間隙(4 例)及び咽頭後間隙(4 例)から傍咽頭間隙(3 例)に最も多く膿瘍を認めた。膿瘍から最も多く検出された細菌は黄色ブドウ球菌(3 例)と A 群 β 溶連菌(2 例)であった。全例とも抗菌薬の静注を施行した。さらに 2 例は頸部より膿汁の穿刺吸引を施行し,5 例は切開排膿術を施行した。この 5 例のうち 1 例は頸部外切開での排膿,2 例は経口的切開排膿,残りの 2 例は経口及び外切開で排膿した。

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© 2009 日本小児耳鼻咽喉科学会
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