平成 8 年から19年に当科で初回手術を施行した小児真珠腫31例(男23例,女 8 例,2 歳~12歳,平均年齢7.0歳)のうちで,癒着型真珠腫は 7 例(男 6 例,女 1 例,6 歳~12歳,平均年齢7.4歳)であった。術式は原則として経外耳道的上鼓室開放術(transcanal atticotomy : TCA)を選択したが,乳突蜂巣の発育が不良の 2 例では最終的に外耳道後壁削除型鼓室形成術となった。再発を防ぐために 4 例で術後鼓膜チューブ留置を必要とした。そのうち 3 例では対側も鼓膜のアテレクターシスが強く,鼓膜チューブ留置術を施行した。早期に脱落する症例では頻回の留置を必要とした。乳突蜂巣の発育の悪いもの,鼻すすりのあるものは特に再発に注意が必要と考えられた。小児滲出性中耳炎の中でアテレクターシスの強い症例は,癒着型真珠腫への進展も常に念頭において適切な治療を行う必要があると思われた。