2009 年 30 巻 1 号 p. 69-72
化膿性髄膜炎を発症し意識レベルが改善したが発語がみられず,頭部 MRI により Broca 失語と診断し得た症例を報告する。
症例は 4 歳男児。発熱,嘔吐,痙攣で発症した。検査で髄液細胞数,白血球数,CRP 上昇を認め,髄液培養で肺炎球菌による化膿性髄膜炎と診断し抗菌薬,デキサメタゾン静注療法,痙攣に対しジアゼパム静注,フェノバルビタール筋注で経過を観察し意識レベルは改善し解熱したが発語がみられず,頭部 MRI では拡散強調画像で両側前頭葉から側頭葉にかけての高信号域を認めた。中耳炎は認めず,症状,MRI の所見からは Broca 失語と診断した。聴性脳幹反応(ABR)でも正常だった。
化膿性髄膜炎から Broca 失語をきたした症例は報告も少なく,貴重な症例だったと考えられる。