扁桃には様々な免疫担当細胞が存在し,上気道粘膜免疫応答の誘導そして実効組織としての機能を備えている。その一方で,扁桃には上気道感染の起炎菌となる細菌が常在し時に感染の場ともなり得る。したがって,両者の平衡が失われたときに扁桃炎が発症し,過剰な局所免疫応答によって扁桃肥大が,そして自己抗体の産生によって病巣感染がもたらされる。扁桃摘出術はこれらの扁桃疾患に対して最も優れかつ安全性の高い治療法である。しかし,免疫機能が未熟な小児では扁桃の免疫学的な役割と扁桃摘出術の弊害を十分に検討して手術を行う必要がある。