小児耳鼻咽喉科
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原著
喉頭浮腫を呈した Kostmann 症候群の一例
吉江 うらら有本 友季子仲野 敦子工藤 典代
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2010 年 31 巻 1 号 p. 24-28

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抄録

  Kostmann 症候群は先天性無顆粒球症であり,新生児期から致死的な化膿性感染症を反復しやすい。今回 Kostmann 症候群の女児が上気道感染から頸部膿瘍,喉頭浮腫を呈したが,急性喉頭蓋炎に特徴的な症状である咽頭痛や流涎などを全く認めなかった症例を経験したので報告する。症例は 6 歳女児。生後 3 カ月から感染を反復し,Kostmann 症候群と診断され,外来にて抗生剤継続投与中であった。今回,上気道症状出現し当院受診。抗生剤点滴投与し帰宅したが,その後発熱,嗄声を認め,さらに右顎下部の腫脹に気付き再来した。血液検査上炎症反応の上昇,CT で右副咽頭間隙に境界不明瞭な辺縁に造影効果のない腫瘤,喉頭蓋腫脹を認め,頸部感染症と診断した。軟性喉頭鏡では喉頭蓋の右側優位の浮腫,右被裂部の浮腫を認めた。すぐに MEPM,DEX,で加療開始したが,臨床症状の改善が乏しいため,VCM,高容量の G–CSF の併用開始し,解熱した。右顎下部の腫脹や CT 上の mass の縮小,血液検査上炎症反応の低下を認めたが,喉頭蓋の浮腫は軽減したものの依然残存した。その後,喉頭蓋の軽度腫脹は変わらないが,発熱などの症状はなく外来で経過観察となっている。

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© 2010 日本小児耳鼻咽喉科学会
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