抄録
最近14年間に当科を受診した15歳以下の小児めまい症例61例について臨床的な特徴について調べた。症例分布は,年齢が高くなるほど増加する傾向にあり,13歳以上で半数を占めた。原因疾患はその他のめまい疾患群が最も多く約半数を占め,次いで原因不明,末梢性,中枢性めまい疾患群の順に多かった。疾患別では起立性調節障害が最も多く36.1%で,次いで心因性めまい,メニエール病が多かった。全年齢層でその他のめまい疾患が最も多く,6 歳以下で中枢性,13歳以上では末梢性めまい疾患が次いで多く認められた。随伴症状は,自律神経症状が最も多く44.3%に認められ,次に蝸牛症状が32.8%にみられた。検査施行率は純音聴力検査と重心動揺検査で高く,異常検出率は起立試験で高かった。
詳細な問診と検査所見から得られた情報を慎重に評価し,小児めまいの臨床的特徴を踏まえたうえで注意深く診療に携わることが重要である。