小児耳鼻咽喉科
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原著
ASSR において軽中等度閾値上昇を呈する児の検討
—軽中等度難聴児の聴力評価—
任 智美奥中 美恵子北條 和歌阪上 雅史
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2011 年 32 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

  近年,ASSR が普及され,乳幼児の聴力評価,補聴器の調整の正確性が向上してきた。しかし,時に本来の聴力より ASSR 閾値が高くなってしまうことが経験される。今回 ASSR で軽中等度の聴力低下を示した81例(116耳)について検討したので報告する。
  初回 ASSR にて軽中等度難聴を示した81例116耳を対象とした。全例に ASSR,それとほぼ同時に ABR, OAE,行動聴力検査を施行して総合評価を行った。
  軽中等度聴力低下を認めた116耳中の原因で,中耳炎が50耳,奇形が 5 耳,重複障害に起因が 3 例,原因不明が31耳であった。ASSRで軽中等度難聴を認めたが,後に正常と判断された18例27耳では,重複障害児が 8 例13耳(48.1%),ASSR施行月齢が生後 6 カ月未満だった児が 7 例11耳(40.7%)であった。
  ASSR で軽中等度難聴を示したが,後に正常と評価された例では重複障害児や低出生体重児,施行年齢が 6 カ月未満の児が多く,中枢の未発達が予想される児では多種類の検査における総合評価の重要性が再確認された。

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© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
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