抄録
脂肪芽腫は胎児性の脂肪組織から発生する良性腫瘍で,3歳以下の乳幼児に好発する比較的まれな疾患である。今回,2歳男児の後頸部に発生し,急速に増大した症例を経験したので報告する。
症例は 2歳男児,母親が後頸部腫瘤に気づき当院受診。初診時,後頸部に35 mm 大の弾性硬な腫瘤を認めた。FNA で悪性所見認めず脂肪腫の診断で外来経過観察となった。1年後に65 mm 大と増大認め,MRI を施行したところ,後頸部に68×38×36 mm 大,辺縁整な腫瘍性病変を認めた。腫瘍が急速に増大しており悪性疾患も否定できないため,2009年12月 8 日全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は白色を呈し,背部筋肉直下に存在した。周囲組織との癒着はなく一塊として完全に摘出し得た。病理診断は脂肪芽腫であった。単純摘出が原則であるが局所再発も報告されており経過観察が必要であると考える。