小児耳鼻咽喉科
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原著
緊急気管内挿管を要した乳児舌根部囊胞症例
牛来 茂樹小林 俊光
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2011 年 32 巻 1 号 p. 74-79

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抄録
  乳児期の咽頭,喉頭の囊胞性疾患は稀有な疾患である。臨床所見としては,気道が狭いことから,喘鳴や哺乳力低下を呈する。今回,我々は呼吸困難として緊急気管内挿管され,診断が確定するまで 1 カ月間にわたり人工呼吸器管理を要した乳児症例の治療を経験した。全身麻酔下に硬性内視鏡を用いて囊胞開窓術を施行した。硬性内視鏡は視野が良く,手術に非常に有用であった。囊胞は中咽頭右側壁から喉頭蓋に及んでいた。手術治療後 1 年経過するも,喘鳴などの呼吸器症状なく,囊胞の再増大も認めず経過良好である。今回の症例では,手術後に nasal CPAP, head box などを用いた呼吸管理および栄養管理も重要であった。このような症例の治療に当っては,耳鼻咽喉科,麻酔科,小児科の 3 科の協力体制が不可欠である。
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© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
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