小児耳鼻咽喉科
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原著
聴覚過敏を訴えた小児例
益田 慎福島 典之
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キーワード: 聴覚過敏, WISC–III, ABR, fMRI, 共感覚
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2011 年 32 巻 1 号 p. 80-85

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抄録

  聴覚過敏を訴えた小児例30例の検査結果を集計し検討した。自閉症スペクトラムを有する例は12例であった。WISC–IIIを実施した17例のうち視覚情報処理が優位であった例が 3 例,逆に聴覚情報処理が優位であった例が 8 例であった。音を聞くとふらつく,あるいはしゃがみこむ11例に ABR を実施し,8 例に60 dBnHL 以下の低音圧で前庭由来筋電位に類似した波形を認めた。この波形が片側に出現した例にはその耳に耳栓をすることで対応した。音を聞くと物が歪んで見えるなど聴覚以外の感覚を感じる13例に機能的 MRI を実施し,10例に特異な所見を認めた。このうち 3 例に聴覚刺激によって視覚が誘発される共感覚の存在が示唆された。これらの検査結果は本人や両親,児に関わる教師等が聴覚過敏を訴える児の状態を理解する上で有益であった。

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© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
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