抄録
両側性高度感音難聴と広汎性発達障害(PDD)の重複例 5 例について後方視的な検討を行った。3 例は新生児聴覚スクリーニング検査で早期に難聴と診断され,残り 2 例は言語発達遅滞として扱われ 2 歳以降で難聴の診断に至った。4 例が 3 歳までの間に集団場面で他者との関わりが乏しいなど,コミュニケーションの不適切な面が周囲に気付かれていた。PDD は決して稀な障害ではなく,難聴と同様に早期の評価と介入を必要とする。難聴のみとは異なる介入方法が求められるため,乳児期から幼児期初期の難聴児の行動的特徴には留意する必要がある。