2011 年 32 巻 3 号 p. 347-351
右の頬部腫脹を主訴とする16歳男性の上顎 juvenile trabecular ossifying fibroma(JTOF)を経験した。初診時,CT にて右上顎洞に造影効果があり一部骨破壊を伴う約30 mm 大の腫瘍病変を認めた。内部には石灰化を認めた。MRI は T1 等信号,T2 低信号で,漸増性の造影効果があった。骨シンチでは同部位に強い集積を認め,PET では SUV 最大値7.6であった。歯齦部から生検を行ったところ,osteosarcoma と診断された。全身麻酔下に経口腔的に右上顎部分切除術を施行し,術後の永久病理検査で JTOF と診断され,切除断端は陰性であった。JTOF は本症例のごとく10歳代を中心に上顎骨に発生することが多く,悪性疾患に類似した局所所見を呈することと再発傾向が強いことから,悪性新生物と同様に外科的切除が第一選択とされる。
現在,術後 7 カ月経過するが,再発等はなく経過は良好である。