2011 年 32 巻 3 号 p. 409-414
一般的には人工内耳術後再手術の適応には,機器の故障,血腫の形成,創部感染,および電極の位置不良などが挙げられる。また最近の手術時年齢の低下からは,耳管機能の未熟さに伴い,経過中に中耳疾患を合併することも少なくない。
今回当院で実施した小児の人工内耳埋め込み術150例のうち再手術を要した 3 例および追加手術を要した 2 例について検討した。再手術の 3 例は全員機器不良によるものであり,同側の人工内耳 explant/implant 術を施行した。また,追加手術の 2 例では鼓膜換気チューブ留置術および鼓膜形成術を施行した。このうち外傷後に再手術を行った内耳奇形の 1 例の詳細を報告した。
再手術を要する症例では失聴期間をできるだけ短くするために迅速な対応を行い,術側の決定および術中の電極の位置確認を慎重に行うことが重要であると考える。