小児耳鼻咽喉科
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原著
乳幼児期に小児病院を受診した,聴力正常な「ことばの遅れた児」の検討
田中 学安達 のどか浅沼 聡坂田 英明加我 君孝
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2011 年 32 巻 3 号 p. 426-430

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抄録

  埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科にことばの遅れを主訴として受診した児の中で,聴力検査で異常が認められなかった群について検討した。これらについて,小児神経科発達外来で発達評価および経過観察が行われた。4 年間の初診児の総計は101人で,4 歳未満が全体の70%を占めた。発達外来における診断名は,広汎性発達障害が50.5%で,精神遅滞が38.6%であった。正常範囲と判断されたのは7.9%で,判断時年齢は平均 4 歳 6 カ月であった。初診時年齢が 4 歳以上の群でも診断名の内訳は全体とほぼ同様の比率であった。この群において,知能検査で境界知能と判断された例を除く精神遅滞 5 人では,質問紙を用いた発達指数が初診時で平均84であった。この中には,乳幼児健診で問題なしとされた児が少なからず存在した。聴力に異常のない「ことばの遅い児」に,発達障害児は多く存在する。言語表出能力以外に,日常生活における対人関係や行動の問題の有無にも留意すべきである。

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© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
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